むげん道中ひとり旅

~むげんの旅路めぐり~

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タクシーの後部座席 ~小さな怪異~:2021年12月17日<奇界草紙>




更新履歴

2021年12月17日 更新
2021年 5月19日 はじまり


●小さな怪異(でもないかも)



タクシーの後部座席

ある夜、前方右に右折待ちのタクシーがいた
お客を乗せているようで後部座席に人影がみえる

すぐに違和感に気づいた
そのタクシーは空車の表示灯をつけている

消灯忘れ?

それに・・なぜあんなにもあの人影は黒いのだろう・・

横を通り過ぎるとき確かめるのはあえてやめた

(2021年12月17日)

それは事故物件?

事故物件の情報サイトを運営する大島てる氏がホテルの事故物件の見分け方を解説した記事があった

いわく、”他の部屋と比べてあきらかに広かったり、トイレが2つあったり、間取りが変”なものは注意という

ふと思い当たったのは、過去に有名温泉街で宿泊したホテルの部屋はなぜかトイレもバスもふたつあった。施設案内図をみるとその部屋は角部屋でその階のなかでは一番広い
当時は一緒に宿泊した知人が勝手にふんぱつしてよい部屋を選んだのだろうと思った(実際高い部屋で負担は折半なので本当にいい迷惑だった)
特に何か起きたわけでもないが今回の話をきいてどうなのかなと思い返した

間取りに関しては添乗員の旅先での恐怖体験をつづったあるサイトに三角形や多角形の危険な部屋という記事がいくつか紹介されていた
歪な間取りはホテルだけでなく賃貸でも危険かもしれない
地元の三角形の間取りの賃貸物件がいつも気になってしかたない
(事故物件とは言ってない)



検索してみると二人部屋ならバストイレがふたつある部屋もあるようだ

ひとり部屋でバストイレがふたつあり、やけに広い部屋というのが危険の合図かもしれない。

(2021年7月22日)

エレベーターはおどる ひそやかに

ある深夜、マンションに戻ると上階で止まっていたエレベーターがさらに上階に向けて上がっていくところだった

「誰かが降りてくるんだな」と思って眺めていると
エレベーターはどんどん下降してくる

やがて地上階に降りてきて扉が開いてやや驚く
中には誰も乗っていない

てっきり誰かが乗っているものかと思ったからだ

躊躇した自分を残してエレベーターは無情にも扉を閉める
そしてまた上昇していった
また最上階まで昇っていく
今度こそ誰かが乗ってくるのか?

扉の開閉音が聞こえたのち、すぐに下降を始めた

真ん中あたりの途中階でとまったかと思うと
また上昇
その動きはもはや人間が乗り降りしているとは思えない速さだった

これはどういうことか?

エレベーターのバグ?
それとも遠隔操作による動作確認?
ひまつぶしのいたずら?

とりあえず自分は自分の部屋に帰りたい

いっこうに降りて来なくなったエレベーターの上下運動を表示板を通して眺めていたがようやく思い切って、エレベーターの上矢印ボタンを押した
ちょっと不気味なので勇気がいる

すると、エレベーターはすーっと降りてきて、扉を開いた
緊張しながら乗ると、エレベーターはいつものように上昇し、指定階にとまった

動作はなんらいつもと変わりなくその後はおとなしかった


でもある時気づいた

時折聞こえてくるエレベーターの上下する音
何度も何度も往復したり一階ごとに上り下りする音が聞こえるときがある

どうやらたまにエレベーターはおどっているようだ

(改変2021年5月19日-初出2016年6月4日)

エレベーターという密室

殺しのドレス(原題 Dressed to Kill)という、1980年公開のアメリカのホラー映画がある

作品の前半でエレベーターのなかでの惨殺場面がある
わずかな時間の凶行が10分くらいの生々しい狂気の映像として流れる

映画の解説者も語っていたが自分もしばらくはエレベーターに乗るのが怖かった
同じような思いを抱いた人間は少なからずいただろう

今でも時折思い出し誰かと一緒にエレベーターに乗ることや、エレベーターの扉がひらく瞬間に恐怖や不安を覚えることがある

エレベーターの箱は短い時間とはいえ逃げることのできない密室になる

エレベーターにまつわる怖い話、心霊話も多い

世にも奇妙な物語にも、エレベーターの故障で閉じ込められた女と男のやりとりからその後女の残した紙袋でさらに恐怖がつづくという話があった

今なら防犯対策だけでなく、感染対策のために同乗しないという選択肢もあるだろう

(改変2021年5月19日-初出2016年11月27日)

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